子どもの運動神経と遺伝
「運動神経は遺伝しない!?」
そもそも「生まれつき運動が苦手」という子どもはいません。私たちが運動をするとき、実際に動くのは筋肉ですが、その動きを起こすように指令を出しているのは「脳」です。脳からの指令が筋肉に送られるとき、その情報を伝えるための通り道となるのが「運動神経」です。
この「運動神経」の脳からの指令を伝える速度には個人差がありません。また、遺伝によって左右されるものでもないのです。
つまり「運動神経」とは、、、
誰にでも備わっていて、個人差の表れないものです。
「運動神経がない」とか「運動神経が悪い」
というのは、単なる俗語です。
「運動が不得意なのは生まれつき」とか「運動オンチだからできない」というのは思い込みにすぎません。誰でも運動ができるようになる素質を持っています。
とはいえ、運動が得意な人もいれば、不得意な人もいるのは事実です。この差が生まれる原因は遺伝などの先天的なものではなく、日ごろから運動に慣れているかどうかという差です。
利き手は練習の成果
運動ができる、できないの差は持って生まれたものではなく、その運動の練習をしたかどうかという違いによるものです。つまり、回数を重ねたことによる経験値の差が大きく効いているのです。
ここで、利き手について考えてみましょう。
あなたの利き手はどちらですか?それはいつからですか?利き手は先天的に決まっているものではありません。
生まれた後に箸を持つ、字を書くなどの動きの習慣をどちらの手で重ねてきたかによって決まります。
お子さんが運動が苦手だとしたら、それは利き手の例からも明らかなように、これまで運動をしてこなかっただけであって、練習さえすれば身体の動きのたくみさは習得できるのです。
誰でも練習をくり返すことで
運動ができるようになります。
練習をくり返すと、、
同じ動きを何回もくり返していくと、脳の中で何回も電気信号が走ります。そうすると、この電気信号が通る道筋がくっきりとしてきます。この道筋が一度確立すれば、いつでも電気信号を走らせた時に記憶がよみがえり、動きを筋肉で再現することができるようになるのです。この道筋のことを「神経パターン」といいます。
ここで、自転車に乗れるようになる過程を考えてみましょう。
何度も挑戦して、徐々に感覚が身についてきます。そして、一度うまく乗れるようになったら期間をあけようが、一からやり直しということはありません。子どもの頃に自転車に乗れれば、大人になってもすぐに乗れますよね。これは練習を重ねて乗れるようになった時点で、自転車に乗るという「神経パターン」が完成したのです。
神経パターンはあらゆる動きについていえます。逆上がり、とび箱、マット運動などもそうです。「できた!」という到達点までにどのくらいの練習を要するかは個人差がありますが、誰でもできるようになります。さらに、こうして目標を達成することが脳をますます活性化させます。
一度完成した運動の「神経パターン」は完成されたプログラムとして小脳にストックされます。ストックされたパターンが豊富であればあるほど、新しい課題にチャレンジした時にの対応がスムーズになるのです。
幼いころから身体を思いっきり使って遊んだり、スポーツへ取り組むことで様々な運動の練習を積んだ子どもは「神経パターン」のストックが豊富であるために、大人になってから新しいことを始めるにも、柔軟に対応できます。
ゴールデンエイジ
幼稚園、保育園の段階から運動に重きが置かれるようになれば「たくみさ」を身につけられる子どもも多くなります。なぜなら、この年代の子どもは「ゴールデンエイジ」とよばれるほど、最も「たくみさ」を身につけるのに適しているためです。
人間の神経細胞が最も発達するのは3歳から8歳くらいまでで、12歳くらいにはほぼ100%になります。この期間を「ゴールデンエイジ」とよんでいます。この期間にいろいろな動きを経験すると、「たくみさ」が身について運動センスが磨かれ、運動が得意になる可能性が高くなります。
この「ゴールデンエイジ」の時期に水泳やサッカー、キャッチボール、ダンス、バレエなど、子どもが興味を持つ運動やスクールにどんどん挑戦させてみてください。
いきなりスポーツ競技のスクールに通わせるのではなく、親御さんが一緒になって身体を動かすことから始めるのも十分効果があります。様々なスポーツの中で、子どものやる気や興味が集中しているものを続けさせるのが良いでしょう。「楽しい」「上達して嬉しい」という気持ちを認識することで、より上達したいという意識を自らもつようになるのです。
また、「ゴールデンエイジ」を
過ぎてしまったからといって
あきらめることはありません。
確かに、始める時期が遅くなるほど早い時期から取り組んでいた子に比べて差があることは事実です。しかし、継続して取り組むことで確実に上達します。これは大人になってからでもいえることです。その際、小さな頃に様々な動きに取り組んでいた人の方が応用が効く場合が多いのですが、大人になってから始めても子どもの頃からやっている人を越えることはよくあります。
アメリカでは「ダブルメジャー」といって、たとえばバスケットボールと野球というように、2種類以上のスポーツに取り組ませるようにしてあります。
日本ではなかなか実践しにくいですが、夏は陸上で冬はバレーボールなどというように季節ごとに違う競技に打ち込むのも、かなり効果的です。スピードスケートの選手が競輪でもオリンピックに出場していた例がありますから、日本人にとっても可能です。
偏ったスポーツを過剰にやらせるのは極力、避けるべきです。成長段階にある子どもの骨の形成に悪影響となることがあります。
年代別の運動
3~8歳の間は
- 安定した立位ができる体づくり
- 基本動作(起き上がる、転がる、跳ぶ、またぐ、手をついて体を支えるなど)
- 複雑な動作習得(スポーツ技術のように見て真似て動いてみる動作)
に重点を置いてください。
この年齢は「歩く」「蹴る」「跳ぶ」「投げる」「打つ」など、運動の「基本動作」を多く体験させることが重要です。特定のスポーツを始める前に、基本動作を習得することにより、将来どんなスポーツでも楽しくできる可能性がひろがります。
幼児期の子どもは毎日1時間以上楽しく体を動かすことが望ましいです。子どもに運動をさせる環境として、運動のプロや親が指導するものと、子どもたちの育つ力を信じて自主的に遊ばせるもの、この2つを整えられれば理想的だと思います。
9~12歳は
スポーツの複雑な技術をスムーズに習得できる貴重な時期です。体づくりの一環として取り組んでほしいのが、おもに体を安定させるトレーニング、空間認識のトレーニング、ジャンプする力を養うような下半身のトレーニングです。
呼吸・循環器系は50%程度しか発育していないので、長時間、高負荷のトレーニングは避けましょう。
中学生~高校生
中学生年代になると、おもに呼吸・循環器系が発達してきます。全身の持久力が高まる時期です。ようやく骨の形成が安定し、筋肉が発達していくのが高校生年代。このころにパワーや瞬発力を高めるトレーニングに取り組めば、十分な成果が得られます。
運動をするメリット
1万人を超える全国規模で行われた幼児の調査で、運動能力が高い子と低い子で、ふだんの行動にどんな違いがあるか?幼稚園の先生が評定したデータがあります。
運動能力の高い子は自信がある、積極的、粘り強い、好奇心旺盛、友だち関係が良好、社交的、リーダー的といった項目でポイントが高くなっています。
一方、運動に苦手意識のある子は神経質、心配性、引っ込み思案などのポイントが高かったそうです。
運動が苦手というだけで、気持ちの面でマイナスになるとしたらかわいそうですよね。
現代の都市部ではバリアフリー環境が整いつつあり、エレベーターやエスカレーターを使うのが当たり前になっています。そうなると、大人同様子どももあまり体を使うことがありません。大人が意識してあげないと、間違いなく、子どもは運動不足になります。
今、子どもの体力の低下が問題になってきています。小学生ですでにメタボリックシンドロームや、ロコモティブシンドロームが心配されるほど子どもの体力低下は深刻な状態だといわれます。
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、運動器の障害のために要介護になるリスクが高い状態のこと。その予備軍の子どもたちが増えているのは幼児期の遊びの不足にあるといわれています。子どもは遊びの中で様々な「基本動作」を経験し、一生を通して健康でいられる体の基礎をつくり、自分の体を守る力をつけていくことができるのです。
子どもの姿勢と運動
成長期にある子どもの姿勢ですが、実はとても大切です。猫背や前かがみなどの良くない姿勢のまま激しい運動を行ったり、日常生活を送っていると様々な問題が起きてきます。
姿勢が歪んだまま骨が成長してしまうと、左右のバランスが悪くなり、場合によっては側弯症を引き起こすかもしれません。
また、姿勢が良くないまま運動を行うと、関節に過剰に負担がかかってしまい、ケガのリスクが高くなります。それだけでなく、猫背の姿勢だと胸郭が縮まり、呼吸が浅くなってしまいます。そんな状態で運動を行ってもメリットよりデメリットの方が多くなってしまいます。
姿勢を悪くしてしまう原因は
日々の生活や筋肉の硬さです。
筋肉の硬さは自分で何とかしようと思ってもなかなかうまくいきません。
姿勢の矯正を自分でしようと思うと
解剖学的な知識や定期的なチェックが必要です。
ケガや傷害が起きてしまう前に、、
我流で時間をかけて間違えてしまうのではなく、身体のプロに任せて正しい知識の下で短時間で楽に姿勢を治しませんか?
当院に体のケアのお手伝いをさせてください!
運動中に起きたねん挫や打撲、成長痛などの症状も当院では施術の対象です。ケガが起こらないことがベストですが、もしもの時はご相談ください。
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子どもの方が大人に比べて水泳などのスポーツの動作を短期間で習得できるのはそのためです。